配管を「信頼できるBIM」へ — 工業配管網での OmniSLAM × ClearEdge3D
約4,800㎡の工業配管網を OmniSLAM R8+ バックパック型モバイルマッピングシステムでわずか20分でスキャンし、その点群を ClearEdge3D の EdgeWise Pro で配管要素1,600超の Revit ネイティブ BIM モデルへと変換した共同プロジェクトのレポートです。現場計測から Scan-to-BIM までのワークフロー全体を、実測値とともにご紹介します。
ソフトウェアパートナー紹介 — OmniSLAM × ClearEdge3D
ClearEdge3D 社(Topcon グループ)は、建築・エンジニアリング・建設(AEC)業界向けの自動 Scan-to-BIM および施工検証ソフトウェアの大手プロバイダーです。世界で1,000社以上の企業に採用されており、高度なコンピュータビジョン、自動フィーチャー抽出、点群処理技術を駆使して、リアリティキャプチャデータを正確で実用的なデジタルモデルへと変換します。主力製品である EdgeWise や Verity は、竣工(as-built)モデリングと QA/QC ワークフローを効率化し、手作業を削減しながらモデル精度を高め、プロジェクトチームが信頼性の高い成果物をより効率的に納品できるよう支援しています。
プロジェクトの背景
BIM モデリングを始める前に、最も重要な問いがあります。「収集したデータは、現場の実態を正確に映し出しているか?」
長年のメンテナンスを経た産業用配管は、従来手法では計測が難しい環境へと姿を変えていきます。しかし、高精度な 3D モバイルレーザースキャニングは、複雑な現場条件を信頼性の高い BIM 対応データへと変換することで、このギャップを埋めることができます。それが、OmniSLAM と ClearEdge3D のパートナーシップの出発点でした。
OmniSLAM は中国国内の約4,800㎡の工業配管網を R8+ バックパック型モバイルマッピングシステムで計測。ClearEdge3D は得られた点群を EdgeWise Pro に取り込み、実測された現場条件から直接、信頼性の高い BIM モデルを構築しました。ミッションは明確です。下流のモデリングワークフローにそのまま使える、正確な現場データを取得することでした。
配管形状が計測を難しくするとき
産業配管環境の計測では、目に見えるものを写し取るだけでは不十分です。こうした現場ではシステムが幾重にも重なり合っており、小さな対象物や部分的に隠れた対象物を、BIM モデリングに必要な精度を維持したまま取得するのは容易ではありません。中心的な課題は、「この複雑さを効率的に捉えつつ、完全で正確、かつ BIM 対応のデータをどう作り出すか」という点に集約されました。
ここで、決定的な問いが浮かび上がります。これほど複雑な環境で、正確な BIM 対応データをどうやって納品するのか?
デジタルの土台を築く — OmniSLAM R8+ によるリアリティキャプチャ
高密度な産業配管プロジェクトでは、信頼できる BIM 成果物の品質はスキャン段階で決まります。取り逃した細部の一つひとつが、位置合わせ、系統の接続関係、そしてドキュメントの品質に影響を及ぼしかねないからです。
汎用性を重視して設計された OmniSLAM R8+ は、ハンドヘルド・バックパック・車載のいずれの運用でもデータ品質を損なうことなく使用できます。厚み 2mm のミリメートル級点群を生成し、BIM ワークフローが依拠する信頼性の高い幾何学的基盤を提供します。
本プロジェクトでは、OmniSLAM R8+ モバイル SLAM レーザースキャナーを現場内の連続した経路に沿って運用し、約4,800㎡の全域をわずか20分でスキャン。配管、サポート(支持架構)、周辺インフラまでを取得し、モデリングチームに既設ネットワーク全体の完全なカバレッジを提供しました。現場では GNSS 信号が利用可能で、測位を補助しています。
施設内を移動しながら、オペレーターは OmniSLAM Capturer で点群をリアルタイムに可視化し続けました。このライブ表示によりスキャンの完全性をその場で確認でき、BIM モデリングに求められるカバレッジと詳細度を維持したまま、データ処理へのスムーズな移行が実現しました。
OmniSLAM Mapper によるデータ処理
現場での取得だけでは、まだ「引き渡し」にはなりません。データを BIM ワークフローへ渡す前に、信頼できるエンジニアリングデータセットへと変換する必要があります。
取得した計測データは OmniSLAM Mapper を用いて完全にオンプレミスで処理されました。自己位置推定(ローカライゼーション)と点群生成はユーザーのワークステーション上で2時間未満で完了。クラウド処理を避けることで、プロジェクトデータをチームの管理下に置いたまま作業を進められました。
最終成果物のデータサイズは 8.61GB で、BIM ワークフローにそのまま使える LAS 形式でエクスポート。250,000 点/㎡ という高密度を達成したデータセットは、配管ルート、サポート、バルブ、周辺構造物の識別に十分な詳細形状情報を提供し、絶対精度 3cm 未満を実現しました。まさに、BIM チームが受け取りたいと考える品質の点群です。
ClearEdge3D — 実測形状に基づくモデリング
現場の計測はワークフローの半分にすぎません。点群が完成した後、その真価は「どれだけ効率的にエンジニアリング対応の BIM モデルへ変換できるか」で決まります。
ここで ClearEdge3D の出番です。Scan-to-BIM ソリューションを専門とする同社は、主力モデリングプラットフォーム EdgeWise Pro により、高密度点群からエンジニアリング対応の BIM 成果物を生成します。
配管の自動抽出
OmniSLAM の点群をもとに、ClearEdge3D は約12時間で配管・構造の竣工モデル一式を作成し、最終モデルを下流のエンジニアリングワークフローでそのまま使える Revit ネイティブファミリとして納品しました。
EdgeWise Pro の QA — OmniSLAM 点群との照合
モデルを次工程へ進める前に、EdgeWise Pro の QA ツールで各配管を OmniSLAM 点群と照合しました。ここで、元となる計測品質の高さが目に見える形で現れます。クリーンで一貫性のある点群のおかげで、チームは「点群そのものを疑う」のではなく、抽出された配管の検証に集中できました。
継手のモデリング
OmniSLAM 点群を幾何学的リファレンスとして、EdgeWise Pro の継手専用ツールがエルボ403個、ティー71個、カップリング229個、レデューサー1個を追加。モデルは配管要素1,600超にまで拡充され、Revit 上での手作業によるモデリングを大幅に削減しました。
構造部材の抽出
繰り返し現れる鉄骨部材は、手作業では最も時間のかかるモデリング対象になりがちです。EdgeWise Pro の Pattern Extract ツールは、点群全体から類似の鉄骨要素を識別して自動フィッティングすることで、1本ずつモデリングする手間を削減します。
Revit ネイティブ対応モデル
OmniSLAM の高密度リアリティキャプチャデータから構築された完成モデルは、EdgeWise Pro から Autodesk Revit へネイティブの Revit ファミリとしてエクスポートされ、干渉調整・ドキュメント作成・下流の BIM ワークフローにそのまま使える状態で納品されました。
成果 — 完全なデジタル表現
数字がすべてを物語ります。現場作業はわずか20分。その後、配管網全体の BIM 対応モデルが完成しました。OmniSLAM のモバイルスキャニングと ClearEdge3D EdgeWise Pro の専門性を組み合わせることで、次の成果が得られました。
- 約4,800㎡の工業配管網を OmniSLAM R8+ バックパックスキャナーで20分で取得。
- 点密度 250,000 点/㎡・絶対精度 3cm 未満の 8.61GB LAS 点群を納品。
- ClearEdge3D EdgeWise Pro が取得形状を配管要素1,600超・構造要素140超の BIM モデルへ変換。
- 実測された現場条件から Revit ネイティブ対応の成果物を作成。
| 使用機材 | OmniSLAM R8+(バックパック運用)+ OmniSLAM Capturer / Mapper |
|---|---|
| 対象 | 工業配管網(中国) |
| 面積 | 約4,800㎡ |
| スキャン時間 | 20分(連続経路・一筆書き) |
| 後処理 | OmniSLAM Mapper(オンプレミス)で2時間未満/8.61GB LAS 出力 |
| 点群品質 | 密度 250,000 点/㎡・点群厚み 2mm |
| 精度 | 絶対精度 3cm 未満 |
| モデリング | EdgeWise Pro で約12時間/配管要素1,600超・構造要素140超・Revit ネイティブファミリ納品 |
キャプチャとモデリングをつなぐ
OmniSLAM と ClearEdge3D は、正確なモバイルスキャニングと高度な BIM モデリングを結びつけ、複雑な現場条件を信頼できるデジタルドキュメントへと変換します。
ClearEdge3D はこの取り組みについて、「高品質なスキャンデータは自動モデリングのロケット燃料。ここまでクリーンな点群であれば、EdgeWise Pro は手作業の介入を大幅に減らして抽出・フィッティング・検証を行えます。OmniSLAM R8+ はその品質を実現しており、品質を犠牲にせず Scan-to-BIM を加速したいチームにとって、このパートナーシップが開く可能性に期待しています」とコメントしています。
OmniSLAM のリアリティキャプチャデータが現場から完全な BIM ワークフローへとつながる流れを、ぜひご覧ください。EdgeWise Pro が高精度点群をどのように信頼性の高い BIM 対応モデルへ変換するのか、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。